教員・研究室紹介

寺田 大将

准教授

寺田 大将

TERADA DAISUKE

メールで問い合わせ

研究室
津田沼キャンパス 2号館7階 010708号室
担当講義
「構造材料1」「材料強度学1」「材料強度学2」等

構造用材料 / 金属材料 / 組織制御 / 力学特性 / 機械的性質

研究室概要

橋やビルなどの建造物、自動車や飛行機のような輸送機器、さらには食器などの小物に至るまで、身の回りには大小さまざまな人工物が溢れています。これらを形づくる材料には、形を維持するために力が加わっても形が変わらない「強さ(強度)」と、変形しても簡単には壊れない「ねばさ(延性・靭性)」が求められます。研究室では、鉄鋼やアルミニウム、チタンなど金属を主な研究対象として、ナノ・マイクロレベルでの組織制御によって「強さ(強度)」と「ねばさ(延性・靭性)」を両立させた高性能な構造材料の創製を目指しています。高強度材料の開発により、これまで建設できなかったような超高層建築物の実現や、輸送機器の車体の軽量化により燃費が向上するなど、社会へ大きく貢献することができます。
また、材料の強度は何に由来するのか、延性はどのようにして決定されるのかなど、材料が示す力学特性の発現メカニズムについて、基礎的な理解を目的とした研究も行っています。

研究テーマ

(1) 強度と延性が両立する構造材料の創製

材料の強さ(強度)とねばさ(延性・靭性)の関係
材料の強さ(強度)とねばさ(延性・靭性)の関係

研究概要で述べた通り、モノを形づくる構造用材料には、「強さ」と「ねばさ」が求められます。しかしながら、通常「強さ」と「ねばさ」の両立は困難で、例えば、強い材料ほど脆いのが一般的です。私たちの研究室では、結晶粒、転位、析出物など材料を構成する組織をナノ・マイクロレベルで制御することで、「強さ」と「ねばさ」を兼ね備えた理想的な構造材料の創製を目指しています。

(2) 加工熱処理を利用した組織と特性の制御

硬い結晶と柔らかい結晶が混在する鉄鋼材料の電子顕微鏡写真
硬い結晶と柔らかい結晶が混在する鉄鋼材料の
電子顕微鏡写真

「強さ」と「ねばさ」を兼ね備えた材料を作るためには、材料を構成する組織の制御が必要となります。鉄鋼を用いた研究では、熱処理により硬い結晶と柔らかい結晶が混在する二相組織を作りこむことで、強度と延性の両立を目指した材料組織の研究を行っています。また、アルミニウムを用いた研究では、結晶粒径を数百ナノメートルまで微細化した上で、結晶粒内に数ナノメートルの析出物を分散させることで、強度と延性の両立を目指した材料開発を行っています。

(3) ミクロな変形挙動とマクロな力学特性の関係

材料組織と局所的な変形の関係を示した図
材料組織と局所的な変形の関係を示した図

身の回りで使われている金属材料は、結晶が集まった多結晶体で出来ています。多結晶体の変形とは、当然ですが、ひとつひとつの結晶が変形することです(ミクロな変形)。また、隣り合う結晶同士が相互作用することにより、結晶の変形は不均一かつ複雑になります。そうした個々の結晶粒の複雑な変形の重ね合わせの結果として、材料の強度や延性(マクロな力学特性)が決定されます。このような個々の結晶のミクロな変形挙動と多結晶材料としてのマクロな力学特性を合わせて考えることで、材料組織と力学特性の関係について本質的な理解を目指しています。

これまでの主要な業績

  1. (1) D Terada, Y Kaneda, Z Horita, K Matsuda, S Hirosawa, and N Tsuji“Mechanical properties and microstructure of 6061 aluminum alloy severely deformed by ARB process and subsequently aged at low temperatures”OP Conference Series: Materials Science and Engineering Vol. 63 (2014), 6th International Conference on Nanomaterials by Severe Plastic Deformation (NanoSPD6), 012088.
  2. (2) D. Terada, Y. Zeng, N. Tsuji“Improvement of Mechanical Properties by Two-Step Aging in Ultrafine Grained Al-Ag-Sc Alloy”Materials Science Forum, Vol.794-796(2014), pp. 857-863.
  3. (3) S. Hirosawa, T. Hamaoka, Z. Horita, S. Lee, K. Matsuda, D. Terada“Methods for Designing Concurrently Strengthened Severely Deformed Age-Hardenable Aluminum Alloys by Ultrafine-Grained and Precipitation Hardenings”Metal. Mater. Trans. A, Vol.44A(2013), pp. 3921-3933.
  4. (4) M. Chen, D. Terada, A. Shibata, N. Tsuji“Identical Area Observations of Deformation-induced Martensitic Transformation in SUS304 Austenitic Stainless Steel”Mater. Trans., Vol. 54 (2013), pp.308-313.
  5. (5) S. Khamsuk, N. Park, H. Adachi, D. Terada and N. Tsuji“Nanostructure Evolution in Commercial Purity Aluminium Heavily Deformed by Torsion”J. Mater. Sci., Vol.47 (2012), pp.7841-7847.