教員・研究室紹介

田村 洋介

教授

田村 洋介

TAMURA YOSUKE

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研究室
津田沼キャンパス 2号館8階 010811号室
担当講義
「エネルギー工学概論」「材料力学及び演習」「塑性加工学」「塑性加工学特論(院)」

軽金属材料 / 機械的性質 / 塑性加工 / 凝固プロセス / 組織制御

研究室概要

地球環境・エネルギー問題を顧みない材料開発は見直しを迫られています。本研究室では、環境負荷低減を背景に、溶解→鋳造→塑性加工→分析・評価→再生と言った一連のプロセスを通じ、機械構造物に利用可能な新しい金属材料・素材を研究・開発することを目的としています。特に軽量実用金属であるアルミニウムやマグネシウム合金に着目し、自動車をはじめとした機械等の軽量化を目指しています。材料力学等を用いた計算、塑性加工学や鋳造工学に基づく加工理論、さらには材料組織制御・評価理論等を基礎とし、先端的な分析機器を利用して研究を進めています。またその中で、改めて興味を持った分野について学びます。実際の産業現場で求められる知識や技術はオーソドックスなものです。「標準」を知らなければ「先端」を理解することはできません。幅広い分野で活躍できるように、卒業研究は材料工学の標準を意識した教育を実践し、大学院でより先端的な研究に取り組めるよう指導します。

研究テーマ

(1) アルミニウム合金の研究

溶融金属に電気を流したり、磁場を印加したりすることで、今までにない材料を作ることができます。本研究室では電磁力を利用したアルミニウム合金の精製および高品質化に関する研究を行っています。現在、自動車のピストンをはじめ摺動部品として使用可能な鋳造用アルミニウム合金(Al-Si系)の研究に着手しています。また連続鋳造による加工用アルミニウム合金材線材の開発にも取り組んでいます。

(2) マグネシウム合金の研究


マグネシウム合金は比重が1.73と小さいため、軽量化が重視されるモータスポーツの分野で注目されています。欧米の高級車には、インテリア部品のみならず動力系統にもマグネシウム合金が使用されています。また電磁波シールド性や振動減衰能に優れていることから、ハイエンドの携帯電子機器筐体に用いられています。しかしマグネシウムは塑性加工が非常に困難です。この点が改善されれば、その用途は飛躍的に拡大します。本研究室では、合金成分の調整や加工プロセスの組み合わせにより、マルチスケールでこの課題に取り組んでいます。

(3) 耐火物の研究

アルミニウム合金溶解炉・保持炉で使用する耐火物材料の開発に関する研究を行っています。

これまでの主要な業績

  1. (1) アルミニウム合金溶湯による耐火物の損傷プロセスとその評価: 研究部会報告書No. 84, 軽金属学会, (2023).
  2. (2) Al-10FeおよびAl-25Si合金における初晶の偏析現象と凝固組織に及ぼす電磁力の影響: 軽金属 72(2022)115‐121.
  3. (3) True Nature of External Corundum Growth (Obake) occurring in Aluminum Melting Furnaces: Journal of Technical Association of Refractories Vol. 40 (2020) 200-207
  4. (4) Relationship between Deep Drawability and Microstructure of Magnesium Alloy: Materials Transactions Vol. 61 (2020) 1280-1286.
  5. (5) Mg-La-ZrおよびMg-Ce-Zr合金鋳造材の強化機構: 軽金属 70巻 (2020) 122-127.